認知症看護ってどんなこと?

適切に看護するために知っておきたい「認知症の行動・心理症状」

認知症が引き起こすさまざまな行動・心理症状

認知症が引き起こすさまざまな行動・心理症状

認知症の原因を治療することはできませんが、より早い段階で症状に気付き適切に看護できれば進行を緩やかにすることができます。適切に看護するためにも、認知症の行動や心理症状についてよく理解しておきましょう。

           

まずはどんな症状か理解する

認知症は「これまでできていたことができなくなる」ため、本人も強い不安や混乱を感じています。記憶障害や見当識障害、実行機能障害、理解力や判断力の低下、失行や失語など、認知症の症状は本人の不安や焦り、恐れや自信喪失などと、周囲の環境や周りの人々の理解度、性格や経験などが絡むことで様々な行動・心理症状を引き起こしますが、周囲の人には問題行動としてみなされています。しかし、本人からすれば何とか適応しようとした結果の行動・心理症状なのです。まずは本人の症状をよく理解し、適切に看護するようにしましょう。どのような行動・心理症状になるのか、詳しくみていきましょう。
適切に看護することで、暴力や暴言、抑うつや無気力、徘徊や睡眠障害、不潔行為、幻覚や妄想といった行動・心理症状が軽減もしくは消失する可能性があります。

まずはどんな症状か理解する

暴力・暴言

初期の段階からよくみられる行動・心理症状で、感情をコントロールする前頭葉が委縮し脳が疲れやすくなることで感情が抑えきれなくなり現れます。本人が理解できない困難な状況に置かれたときや尊厳が傷つけられたときに症状が現れやすくなります。

暴力・暴言

抑うつ・無気力

脳が疲れやすくなることで活動力も低下してしまいます。行動するエネルギーが出ないときやできないと感じて自信や尊厳が傷ついたときに抑うつや無気力といった症状が現れることがあります。

抑うつ・無気力

徘徊

認知症の症状のひとつである「場所の見当識障害」は徘徊を引き起こす要因でもあります。はじめは道に迷うだけだったのに症状が進行すると自宅など見慣れた景色も認識できなくなります。「ここがどこか確かめたい」「家に帰りたい」などの理由で外出し、それが徘徊につながってしまう、というわけです。しかし、本人にとっては確たる理由があるため、外出しないように引き止めるのはかなり難しいでしょう。

徘徊

妄想・幻覚

現実的ではないことを他人が訂正できないほど確信するようになる妄想はわりと初期の段階からみられます。財布を置き忘れただけなのに「お金を盗られた」と主張する物盗られ妄想や「理不尽な対応された」「いじめられた」などの被害妄想は記憶障害が進むと発症するようになります。これは身近で大切な人との関係性が悪化してしまうという不安が要因となって引き起こされるようです。
現実的にはあり得ないものを現実のように見聞きする幻覚はレビー小体型認知症でよく見られる症状です。「洋服を人や動物と見間違える」「誰かの話し声が聞こえる」といったように多種多様な症状がみられます。

妄想・幻覚

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