認知症の原因となる主な病気
認知症は様々な病気によって脳の働きが低下し、生活するのが困難になる症状を指す言葉です。種類によって症状の現れ方や治療方法が変わります。認知症の原因になる病気について詳しくみていきましょう。
アルツハイマー病
認知症の患者の中で最も多くの人が発症しているのがアルツハイマー型認知症です。大脳の側頭葉にある、記憶をつかさどる器官「海馬」が委縮していくことで発症します。画像診断では老人斑と呼ばれるたんぱく質の沈着がみられます。物忘れから徐々に進行していきますが、大脳の機能が弱くなると寝たきりになります。進行を止めることはできませんが、治療によって進行スピードを緩やかにすることは可能です。
レビー小体型認知症
レビー小体というたんぱく質が脳に蓄積することで発症する認知症です。主な症状は実際には存在しないものがみえる幻覚や人物誤認などですが、それ以外にも手の震えやこわばり、小刻み歩行、表情がなくなる、などパーキンソン病のような症状も出ます。その他、便秘や失禁、立ちくらみといった自律神経の症状を伴うこともあります。
前頭側頭型認知症
前頭葉と側頭葉が少しずつ委縮していくことで様々な症状が出てくる認知症です。65歳未満でも発症することが多く、社会のルールに合わせた行動ができない、人前で排便してしまう、スーパーで会計前のものを食べる、などの行動異常が主な症状です。また、非活動的になったり、物事に無関心になったりすることもあります。
血管性認知症
くも膜下出血や脳出血、脳梗塞など脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳の機能が低下し、物忘れや手足の震え、麻痺などの運動障害が出る認知症です。症状は出たり消えたりすることが多いのですが、病気が再発すると悪化する傾向があるため、血管の拡張や血液が固まるのを防ぐ薬、リハビリなどで進行を抑制する場合があります。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌量が不足することで身体の活動力が低下する症状です。物忘れだけでなく全身の倦怠感や気力の低下、居眠り、体のむくみといった症状もみられます。甲状腺ホルモンを補充することで症状が改善されるため、治療法としては甲状腺ホルモン製剤の服薬です。
慢性硬膜下血腫
頭を打つなどの外傷によって頭蓋骨と脳の間に血液がたまる病気です。頭を打ってから3週間~3ヶ月後に症状が現れることが多いのですが、血腫吸引手術で症状を改善できます。
正常圧水頭症
脳室が拡大して周囲の脳が圧迫されて起こる正常圧水頭症は認知症の症状の他、歩行障害や尿失禁といった症状も出ます。慢性硬膜下血腫と同様、脳外科手術の髄液シャント手術を受ければ症状が改善します。