もうひとつの資格『認知症ケア専門士』
認知症看護について専門的な知識を持っているのは認知症認定看護師だけではありません。一般社団法人日本認知症看護学会が認定している「認知症ケア専門士」も認知症看護の専門家であることが証明できる資格です。
「認知症ケア専門士」とは何か?
認知症ケア専門士の資格を取得していることで、認知症看護に関する知識や高度なスキル、倫理観を備えていることが証明できます。認知症看護の実務経験が3年以上あれば受験できるので、看護師だけでなく介護福祉士やケアマネジャーなどもこの資格を取得しています。2017年時点で資格を取得しているのは32,531人ですが、このうち看護師は8,000人ほど。およそ1/4を占めています。
近年は毎年7,000人ほどの受験者がおり、有資格者の数も増えてきていますが、これには認知症患者の増加が大きく関係しています。今後も認知症患者の数は増えていくと予想され、2050年にはその数は1,000万人を超えるともいわれています。
看護師が取得するメリット
認知症ケア専門士は他の認知症看護の専門資格に比べて難易度が低めです。先に述べた認知症認定看護師は資格を取得するためには実務経験以外に専門教育機関に6ヶ月間通学してからでないと試験を受けることができません。しかし、認知症ケア専門士は実務経験があれば取得できるので、通学するために休職したり職場と調整したりする必要がないのです。
また、認知症看護の専門知識を学ぶことで認知症患者に対する看護の質も向上します。なぜなら、看護師目線で接するのではなく、患者に寄り添って信頼関係を築き、患者の意思を大切にする認知症看護を学ぶことができるからです。
認知症看護のスペシャリストになれる
残念ながら多くの医療現場では認知症看護の知識は浸透していません。「何となく」の知識とスキルで認知症看護を行っているため、看護に不安や負担を感じる看護師もいます。しかし、その場に認知症ケア専門士が1人でもいれば、学んだことを実務に活かしながら同僚をフォローしたり、後輩を指導したりすることができるようになります。認知症看護のスペシャリストとして活動することで管理職など昇進のチャンスにもつながりますし、何より、スキルアップにも役立ちます。
認知症ケア専門士を取得するためには
「過去10年の間で認知症看護に関する施設や病院、団体などで認知症看護の実務経験が3年以上あること」が必須条件です。ただし、職種や仕事内容が制限されているわけではないため、認知症看護の実務ができる機関であれば認知症専門でなくても問題ありません。誰でも受験可能な、門戸の広い資格です。
認知症ケア専門士の資格は筆記試験の第一次試験と面接の第二次試験に合格しなければ取得できません。試験の流れや必要書類など試験についての情報が詳しく記載されている認知症ケア専門士の公式サイトを下記に紹介するので、興味のある人は確認してみてください。
認知症ケア専門士の認定試験情報が記載されている公式サイトです。必要な書類もここからダウンロードできます。
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